問題社員

問題社員の行動を観察することが対応の第一歩

 会社経営者の皆様、問題社員の対応に悩んでいませんか?

 例えば、「勤務態度が悪い」「指示に従わない」「何でもパワハラだと主張する」などの問題行動を取る社員がいる場合、適切な対応を考えることが重要です。しかし、感覚的な評価だけで対処しようとすると、効果が薄れるどころか、逆効果になることもあります。

 では、どのように対応すべきなのでしょうか? その第一歩となるのが、「問題社員の行動をよく観察すること」です。本記事では、問題社員の対応を成功させるための観察の重要性について解説します。

問題社員の対応には具体的な事実把握が不可欠

 「協調性がない」「勤務態度が悪い」といった抽象的な評価では、適切な対応はできません。なぜなら、問題の程度や状況はケースごとに大きく異なるからです。

 例えば、「協調性がない」と一言で言っても、以下のようにさまざまなケースが考えられます。

● 単に気が利かないだけなのか
● 仕事に必要な協力をあえて拒否しているのか
● 指示された業務を故意に放棄しているのか

 また、「勤務態度が悪い」と言っても、軽微なものから重大な問題まで幅があります。

● 業務中にスマートフォンを触る程度なの
● たびたび遅刻や欠勤をするのか
● 職場の雰囲気を悪化させるほどの言動をしているのか

 このように、問題の本質を見極めずに「協調性がないから」「勤務態度が悪いから」という理由だけで対応を決めてしまうと、的確な指導ができず、最終的に法的トラブルに発展するリスクもあります。

具体的な事実を観察・記録する

 問題社員に適切に対応するためには、**「いつ」「どこで」「誰が」「どのように」「何をしたのか」**を具体的に把握することが重要です。

 例えば、次のような記録を取ることが有効です。

● ○月○日 ○時頃、会議中に指示を無視し、別の業務を続けていた。
● △月△日、業務中に同僚を叩いた。
● ×月×日、上司からの指示に対し「そんなことをする義務はない」と発言した。

 さらに、可能であれば「なぜその行動を取ったのか」「その社員の意図は何か」も把握することで、より適切な対応が可能になります。

問題社員の観察がもたらすメリット

客観的な対応ができる

 事実を観察し、記録することで、指導が感情的なものではなく、客観的かつ論理的なものになります。問題社員に対しても、具体的な事実を示せば、指導の納得感が高まりやすくなります。

法的リスクを軽減できる

 問題社員の言動を詳細に記録しておけば、万が一、解雇や懲戒処分に発展した場合でも、企業側が適正な対応を行った証拠となり、法的リスクを最小限に抑えることができます。

社員の信頼を得やすい

 「しっかり観察する=監視する」と捉えられるとネガティブな印象を持たれがちですが、実際には「社員をよく見ている」こと自体が、信頼関係の構築につながることもあります。

 例えば、適切な観察を行いながら指導することで、「この上司は自分をしっかり見てくれている」と感じさせ、行動改善を促すことができます。

問題社員対応の成功には「観察」が鍵

 問題社員対応で失敗しがちなケースの多くは、事実確認をおろそかにしたまま、感覚的な評価だけで対処しようとすることが原因です。評価ではなく、具体的な行動を観察・記録し、それに基づいて適切な指導を行うことが成功の鍵となります。

 四谷麹町法律事務所では、問題社員への対応に関して、懲戒処分の進め方や指示の出し方、社員への対応方法について具体的なサポートを行っています。

 訴訟や労働審判になる前の段階から適切な対応を行うことで、企業側の負担を軽減し、トラブルの早期解決が可能となります。問題社員の対応でお悩みの際は、会社側専門の経験豊富な四谷麹町法律事務所にぜひご相談ください。

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