問題社員

問題社員(モンスター社員)への注意指導で起こりやすいトラブルと回避策

動画解説

問題社員への注意指導で紛争になりやすい事例

 経営者にとって、問題社員(一般にモンスター社員とも言われている。)への注意指導は避けて通れない課題です。しかし、注意の仕方によっては、単なる指導では済まず、大きな紛争に発展することがあります。本記事では、特に紛争に発展しやすい注意指導のパターンを解説し、企業が取るべき適切な対応について詳しく説明します。

長期間放置された問題行動はトラブルになりやすい

 最も紛争になりやすいパターンの一つが、長期間放置されていた問題行動を突然改めさせようとするケースです。

 多くの企業では、問題社員に対して最初は「その行動はやめたほうがいいのでは」と軽く注意をするものの、本人がうまくはぐらかしたり言い返したりしているうちに、上司や同僚も注意をしなくなることがあります。その結果、遅刻や無断欠勤、業務態度の悪化などの問題行動が数ヶ月、あるいは数年にわたって放置されることも少なくありません。

 こうした状況で、ある日突然「これまでの行動は問題だから直しなさい」と指導を行うと、社員は反発しやすくなります。特に、新任の上司が赴任してきた場合、「前の上司は許してくれていたのに、なぜ急に問題視されるのか」と納得できず、不満を抱くことが多くなります。これが「パワハラだ」と問題視され、社内外でのトラブルに発展するケースは非常に多いのです。

 また、問題社員が「これまで許されていた」と主張し、社内の他の社員も「確かに今までは問題になっていなかった」と証言すれば、企業側の立場はさらに弱くなります。労働審判や訴訟になった場合、裁判所は「これまでの運用実態」を重視するため、長年の黙認を理由に厳しい処分が認められないこともあります。

会社のルールが曖昧な場合は処分が難しくなる

 会社の就業規則や職場のルールが曖昧で、これまで秩序が緩い状態で運営されてきた場合、後から厳しく注意指導を行っても処分が認められにくくなります。

 例えば、ある企業では、以前の管理職が「多少の遅刻や業務中の私用電話は目をつぶる」という方針を取っていたとします。このような環境で長年勤務してきた社員が、新しい管理職のもとで「就業時間を厳守しなければならない」と突然指導を受けると、社員は「なぜ急に厳しくなったのか」と反発する可能性が高まります。

 また、ルールが曖昧なままでは、管理職ごとに対応が異なり、不公平感が生まれやすくなります。「A上司のときは許されたのに、B上司になった途端に厳しくなった」という状況では、社員の不満が爆発しやすくなります。こうした状況が続くと、会社全体の秩序が乱れ、職場環境の悪化にもつながります。

法的にも、「これまで黙認してきた行動を急に問題視し、重い処分を課す」ことは不合理と判断されることが多く、懲戒処分や解雇が無効とされるリスクが高まります。企業側が一貫したルールを運用し、日頃からしっかりと注意指導を行うことが重要です。

メールや文書のみの指導は誤解を生む可能性がある

 近年、メールやチャットツールなどを利用した注意指導が増えています。しかし、メールや文書のみで注意を伝えると、相手が意図を正しく理解せず、逆に問題がこじれることがあります。

 例えば、「就業時間中の私用電話は禁止です」とメールで注意した場合、社員がその意図を誤解し、「今後、一切の電話が禁止されるのか」などと拡大解釈することがあります。また、メールの文面だけではニュアンスが伝わりにくく、受け手によっては冷たく突き放されたと感じることもあるでしょう。

 また、メールのみでの指導を続けると、問題社員は「上司は直接話すのを避けているのではないか」と考え、強気に出ることもあります。実際に、対面で話すと素直に従う社員でも、メールでは長文で反論を送ってくるケースもあり、トラブルが悪化することがあります。

 そのため、注意指導は対面またはオンライン会議システム(ZoomやTeamsなど)を活用し、口頭で直接伝えることが重要です。その上で、指導内容をメールで補足することで、適切な記録を残しながら誤解を防ぐことができます。

企業が取るべき適切な対応

 問題社員への注意指導がトラブルに発展しないようにするためには、以下の対応を心がけることが重要です。

  • 日頃からルールを明確にし、一貫した対応を取る
    • 就業規則を明確にし、日常的に周知する。
    • 管理職が一貫した方針で指導を行う。
  • 問題行動を長期間放置せず、早めに対応する
    • 軽微な違反であっても、その都度指導を行う。
    • 状況に応じて改善指導書などを活用し、記録を残す。
  • 注意指導は対面で行い、文書で補足する
    • 口頭での指導を基本とし、必要に応じてメールや文書で補足。
    • 対話を通じて相手の理解を確認する。

まとめ

 四谷麹町法律事務所では、問題社員への対応に関して、個別の注意指導の仕方や、懲戒処分の進め方、社員への対応方法について具体的なサポートを行っています。訴訟や労働審判になる前の段階から適切な対応を行うことで、企業側の負担を軽減し、トラブルの早期解決が可能となります。問題社員の対応でお悩みの際は、会社側専門の経験豊富な四谷麹町法律事務所にぜひご相談ください。

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