2025.03.14
労働審判申立書が届いた場合の対応

目次
動画解説
労働審判とは何か?
労働審判とは、労働者と会社の間で発生した個別の労働紛争を迅速に解決するために設けられた裁判手続きの一種です。裁判とは異なり、第一回期日から審理が進行し、原則として3回以内の期日で解決が図られます。通常の訴訟よりも短期間で結論が出るため、企業側としては迅速かつ適切な対応が求められます。
労働審判の目的は、労使間の紛争を速やかに解決することにあり、調停的な要素も含まれています。しかし、調停が成立しない場合には、労働審判委員会が審判を下すことになります。審判結果に不服があれば異議申立てが可能ですが、その場合、自動的に通常の訴訟手続きへと移行する点に注意が必要です。
労働審判手続申立書が届いたらすぐにすべきこと
労働審判の申立書が会社に届いた場合、最も重要なのは迅速に対応することです。一般的に、申立書が届いてから1か月前後で第一回期日が指定されるため、短期間での準備が求められます。
労働審判手続申立書の内容を精査する
まず、労働審判手続申立書に記載されている主張内容を確認し、請求の根拠や求められている解決策を理解することが重要です。 内容を整理し、労働審判で争われる論点を明確にしておくことが必要です。特に、会社の対応が法的に正当であったかどうかを検討し、社内で関係する資料を収集しておくことが重要です。具体的には、就業規則、雇用契約書、給与明細、社内のメール記録、従業員とのやり取りの記録、過去の評価シートなどが有力な証拠となり得ます。
また、労働審判では証拠の提示が極めて重要です。申立書の内容が事実と異なる場合、それを証明するための証拠を迅速に集める必要があります。たとえば、未払い残業代の請求であれば、タイムカードや給与明細の照合が必要です。ハラスメントの訴えに関しては、社内での聞き取り記録や、当該従業員の業務態度の記録などが証拠となることがあります。
速やかに弁護士に相談する
労働審判は短期間で結論が出るため、企業側にとって不利な状況になりやすいのが特徴です。そのため、専門家である弁護士に相談し、適切な戦略を立てることが重要です。
特に、労働審判の申立てを受けた会社の経営者や人事担当者が独自で対応するのは非常にリスクが高いため、できるだけ早い段階で弁護士に依頼することが望ましいです。企業内の人事担当者だけで対応しようとすると、法律的な見解の不足や不適切な対応によって、最終的に企業にとって不利な決定が下されるリスクが高まります。弁護士に依頼することで、証拠の整理や答弁書の作成、審判当日の対応までトータルでサポートできるため、早めの相談が企業にとってのリスク回避に直結すると言っても過言ではありません。
答弁書の作成と提出
労働審判の手続きでは、申立書に対する会社側の主張を記載した答弁書を、第1回期日の1週間から10日前までに裁判所へ提出する必要があります。答弁書は単なる反論書ではなく、企業の主張を論理的かつ法的に構成する重要な書類です。その目的は、申立書に対する会社側の主張を明確にし、企業にとって有利な証拠や資料を整理し、労働審判委員に企業側の立場を正しく理解してもらうことにあります。そのため、答弁書の作成にあたっては慎重な準備が求められます。
当事務所に労働審判をご依頼いただいた場合、答弁書の作成は弁護士が行います。会社の方には、必要な資料の提供や、打合せでの説明をお願いしています。企業の主張を適切に伝えるためには、法的な視点に基づいた構成が不可欠であり、専門的な知識を持つ弁護士が作成することが重要です。
答弁書においては、単なる否認ではなく、法的根拠を示しながら論理的に反論することが求められ、このような証拠の整理や論理的な主張の構築には、専門的な知識と経験が不可欠です。
また、労働審判は迅速な手続きであるため、準備不足のまま第1回期日を迎えると、企業側にとって不利になる可能性が高まります。労働審判委員は提出された書面をもとに審理を進めるため、答弁書の内容が企業の主張を正確に反映したものとなるよう、慎重に作成する必要があります。迅速な対応と十分な準備が、労働審判における企業の防衛策となるため、早めの対応が重要です。当事務所では、労働審判手続きにおいて企業の立場を守るために、法的な観点から適切なサポートを提供しています。
労働審判の流れと企業側の対応
労働審判の流れを正しく理解し、各段階で適切な対応を取ることが、企業のリスクを最小限に抑える鍵となります。ここでは、労働審判の一般的な流れと、企業が取るべき具体的な対応について詳しく説明します。
労働審判手続申立書の受領
労働審判は、労働者が裁判所に申立書を提出することで開始されます。会社側は、裁判所から労働審判手続申立書とともに第1回期日の通知を受け取ります。この時点で、会社は速やかに対応を開始する必要があります。申立書の内容を精査し、会社にとって不利な点がないかを確認することが重要です。請求額や主張されている事実を洗い出し、証拠資料の準備を進める必要があります。
答弁書の作成・提出
労働審判申立書が届いてから約3週間のうちに、答弁書を作成し、裁判所へ提出しなければなりません。答弁書は、会社側の主張を明確に示す重要な書類であり、証拠資料を添付しながら論理的に構成することが求められます。この段階で弁護士と協力し、最適な反論を準備することが、労働審判手続を有利に進めるための鍵となります。
第1回期日
第1回期日は、労働審判手続の最も重要な局面です。通常、申立書が届いてから約1か月後に指定され、企業側と労働者側が裁判所に出席し、それぞれの主張を述べる機会が与えられます。
労働審判委員会(裁判官1名と労使代表の委員2名で構成)は、申立書と答弁書の内容を事前に確認し、双方の意見を聞いた上で調停を試みます。ここで調停が成立すれば、審判手続きは終了しますが、調停が不成立の場合は、委員会が審判を下します。
企業側の対応としては、事前に答弁書をしっかり準備し、弁護士と共に主張を整理しておくことが重要です。また、労働審判はスピーディに進行するため、証拠の提示や論点整理が不十分だと、不利な審判結果を招く恐れがあります。
第2回・第3回期日
労働審判は、原則として3回以内の期日で完結することが求められています。第1回期日で調停が成立しなかった場合、第2回、第3回期日が設けられますが、実際には第1回期日でおおむね結論が出ることが多いため、初回の対応が極めて重要です。
第2回・第3回期日が設けられる場合、追加の証拠や新たな主張を準備する時間があるため、弁護士と協議し、戦略を見直すことが可能です。ただし、余裕を持って対策を立てるためにも、第1回期日の段階で可能な限りの準備を整えておくことが理想的です。
労働審判の決定と異議申立て
労働審判委員会が最終的な審判を下した場合、企業側はその内容を精査し、対応を決定する必要があります。審判の結果に納得できる場合は、その内容に従って和解や支払いを進めることになります。
しかし、企業側にとって不利な内容であった場合、異議を申し立てることができます。異議申立てを行うと、労働審判は通常訴訟へと移行し、改めて法廷での争いが続くことになります。訴訟に移行すると、1年以上の長期戦となる可能性があるため、企業にとっては大きな負担となります。そのため、第1回期日の段階で可能な限り有利な条件を引き出し、調停を成立させることが重要になります。
企業側の最善の対応策
労働審判の手続きは迅速に進むため、企業側が準備不足のまま臨むと、大きな不利益を被る可能性があります。以下の対応策を講じることで、労働審判を有利に進めることができます。
- 早期に弁護士に相談
- 答弁書の徹底準備
- 証拠の整理と提出
以上の対策を講じることで、企業のリスクを最小限に抑え、労働審判を有利に進めることが可能になります。
会社側の労働審判対応はお任せください
四谷麹町法律事務所は、会社側の法律事務所として、経営者の皆さまの労働審判対応に豊富な実績を持っています。労働審判は短期間で結論が出る手続きですが、会社または労働者のいずれかが異議を申し立てると訴訟へ移行する仕組みになっています。そのため、調停や審判の内容が、会社にとって不利にならないようにするためには、迅速且つ的確な対応が求められます。会社側の労働審判の対応は、会社側専門の経験豊富な四谷麹町法律事務所にお任せください。