ハラスメント

企業のハラスメント対策|会社が負う責任と適切な対応策

動画解説

 職場におけるハラスメントは、単なる個人間のトラブルではありません。それは企業全体の秩序や職場環境の維持に直結する重大な問題です。特に中小企業の経営者や人事担当者にとって、ハラスメントを放置することは大きなリスクを伴います。本記事では、会社がハラスメント問題にどのように対応すべきか、法的リスクを最小限に抑えながら企業の健全な成長を守るための方法を詳しく解説します。

ハラスメントを個人間の問題と考えるリスク

 多くの経営者は、ハラスメントを個人間の問題として片付けてしまいがちです。しかし、それは適切な対応とは言えません。なぜなら、職場は企業の管理下にある場であり、そこで発生する問題は会社の責任となるからです。

 典型的なハラスメントの事例としては、管理職によるパワーハラスメント(パワハラ)が挙げられます。しかし最近では、同僚間の嫌がらせや、部下から上司へのパワハラ(逆パワハラ)も増えています。こうした問題が発生すると、企業は「社員同士の関係が悪いだけ」と考え、放置することがあります。しかし、それでは問題が悪化するばかりか、被害者が精神的な負担を抱え、最終的に退職してしまうことにもなりかねません。

 また、ハラスメントの加害者となる社員が増えると、社内の規律が崩れ、職場環境が悪化します。結果として、他の従業員の士気が下がり、生産性の低下を招く可能性があります。したがって、ハラスメント問題は放置せず、経営者が率先して対応することが求められます。

会社が負う法的責任とは

 企業は、雇用契約のもとで従業員を雇い、職場環境を適切に管理する責任を負っています。この責任を果たさなかった場合、企業は「使用者責任」を問われる可能性があります。

 例えば、ある社員が同僚に対してハラスメントを行い、それが不法行為と認定された場合、企業は加害者とともに損害賠償責任を負うことになります。これは、会社がハラスメントを未然に防止し、適切な対応を講じなかったと見なされるためです。

 さらに、企業には従業員が安全に働ける環境を提供する「安全配慮義務」があります。もしハラスメントが原因で職場環境が悪化し、従業員の健康や業務遂行に悪影響が出た場合、会社は債務不履行として責任を問われる可能性があります。このようなリスクを避けるためにも、経営者は積極的にハラスメント対策を講じる必要があります。

ハラスメント防止策の具体例

 企業がハラスメントを未然に防ぐためには、以下のポイントを押さえることが重要です。

ハラスメント防止の方針を明確にする

 就業規則にハラスメントの禁止事項を明記し、社員に周知徹底させましょう。社内研修やガイドラインの配布などを通じて、全社員にハラスメントのリスクと対応策を理解させることが大切です。

相談窓口の設置

 社内または外部の専門機関にハラスメント相談窓口を設置し、従業員が安心して相談できる環境を整えることが必要です。匿名で相談できる仕組みを整えることで、被害者が声を上げやすくなります。

早期対応と適切な処分

 ハラスメントの兆候が見られた時点で迅速に対応し、必要に応じて懲戒処分を検討します。対応が遅れると、問題が拡大し、企業の責任が問われるリスクが高まります。

管理職への教育

 管理職が適切な指導を行えるように、ハラスメントに関する研修を定期的に実施しましょう。管理職がハラスメントを見逃さず、適切な対応を取れるようにすることが重要です。

外部の専門家を活用する

 社内での対応が難しい場合、弁護士や労務コンサルタントの助言を受けるのも有効です。特に、ハラスメント問題が訴訟に発展する可能性がある場合は、早めに専門家のアドバイスを受けることが重要です。

ハラスメント問題を放置するとどうなるか

 ハラスメントが横行する職場では、以下のような深刻な問題が生じます。

  • 被害を受けた社員の退職やメンタルヘルスの悪化
  • 企業の評判の低下
  • 労働審判や訴訟による財務リスクの増大
  • 他の従業員のモチベーション低下と生産性の悪化

 特に、問題社員(一般にモンスター社員とも言われている。)がハラスメントを行っている場合、会社の規律が乱れ、最悪の場合、企業の存続にも影響を及ぼしかねません。そのため、経営者は問題を早期に発見し、毅然とした態度で対応することが求められます。

まとめ

 ハラスメントは、企業の存続や発展に直接影響を与える問題です。経営者がこれを放置すれば、従業員の信頼を失い、会社の生産性や評判が損なわれる可能性があります。そのため、経営者は「ハラスメントは会社の問題であり、自らの責任である」という意識を持ち、積極的に対策を講じることが不可欠です。

 四谷麹町法律事務所では、ハラスメント問題に関する相談を受け付けています。従業員への適切な指導の方法や、懲戒処分の進め方、法的リスクを回避するための対応策について、具体的なサポートを提供しています。トラブルが拡大する前に、適切な対応を行うことが企業の負担を軽減し、職場環境の改善にもつながります。ハラスメント問題でお悩みの際は、会社側専門の経験豊富な四谷麹町法律事務所にぜひご相談ください。

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