2025.03.18
社員の横領・不正受給の対応策|金銭回収の具体的方法を解説

目次
動画解説
企業の資産を守るために
企業経営において、社員による横領や手当の不正受給は深刻な問題です。これらの不正行為が発覚した場合、迅速かつ適切に対応しなければ、会社の信頼性が損なわれ、組織の統制が揺らぐ可能性があります。金額の大小に関わらず、適切な対応を怠ると、他の社員の士気を大きく下げ、不正行為が蔓延するリスクを抱えることになります。
特に、中小企業においては、一人の不正行為が会社の経営に与える影響が大きく、財務状況に直接的な打撃を与えることもあります。そのため、不正が発覚した際には、確実に金銭を回収し、同様の問題が再発しないような対策を講じることが求められます。
本解説では、横領や不正受給が発生した際に企業が取るべき対応と、金銭を取り戻すための実践的な方法について詳しく解説します。
まずは被害額を明確にする
横領や不正受給に気づいたら、まずは被害額を正確に把握することが最優先です。不正の発覚時点では、どの程度の被害が発生しているのかが不明確であることが多く、調査を怠ると回収の見通しが立ちません。
具体的には、
- どの時期に不正が行われたのか
- どのような手口で金銭が流出したのか
- 合計でいくらの損害が発生しているのか
- 不正に関与した社員が他にもいないか
を徹底的に調査し、可能な限り証拠を確保します。
この過程で、過去の帳簿や給与明細、取引履歴、社内の監査記録などを確認し、客観的なデータを整理しておくことが重要です。また、他の社員からの証言や監視カメラの映像など、証拠となるものはすべて記録し、事実関係を明確にしておきましょう。
本人との合意を文書で確保する
被害額を確定したら、次に行うべきは「返還に関する合意を文書化すること」です。不正行為を行った社員が「返済する」と口頭で約束していたとしても、それだけでは後になって「そんな約束はしていない」と言い逃れされる可能性があります。
そのため、
- 返還する金額
- 返還のスケジュール(分割払いの場合、毎月いくらずつ返すか)
- 返済方法(振り込み、現金支払いなど)
- 返済が滞った場合の対応(利息の付加、法的措置の可能性など)
を明記した書面を作成し、本人の署名・押印をもらうことが重要です。
書面を交わすことで、支払いを途中で止められるリスクを最小限に抑えられます。さらに、会社側が後々「支払いの強要をした」といった不当な訴えを受けるリスクも軽減できます。
給与天引きには慎重になる
「給与から天引きすれば確実に回収できる」と考える方も多いですが、給与天引きには大きなリスクが伴います。
日本の労働基準法では「賃金の全額払いの原則(労基法第24条)」が定められており、法律上認められた控除項目以外は、労働者の同意なしに給与から差し引くことができません。
また、仮に社員が給与天引きに同意したとしても、後になって「上司に強制された」と主張されるリスクがあります。訴訟になった場合、企業側が不利になる可能性もあるため、給与からの天引きは避けたほうが無難です。
返還方法として推奨される手段
給与天引きに頼らず、社員本人に自主的に返済させる方法を取りましょう。推奨される返済方法は次のとおりです。
振り込みによる返済
最も確実なのは、毎月決められた額を企業の指定口座に振り込ませる方法です。本人に振り込みをさせることで、支払いの意識を強める効果が期待できます。また、振込記録が残るため、後々「支払っていない」と言われるリスクも低減できます。
現金での手渡し
振り込みが難しい場合は、現金手渡しも選択肢となります。その際は、
- 企業側が領収書を発行する
- 本人にも支払い証明を求める
など、記録を残すことを徹底してください。
法的措置も視野に入れる
話し合いで解決しない場合、法的手続きを検討する必要があります。具体的には、
- 内容証明郵便を送付する
- 民事訴訟を起こす
- 差押えの手続きを進める
などの対応が考えられます。
企業の信用と組織の士気を守る
横領や不正受給が発生した場合、単に金銭を回収するだけではなく、企業の信用や組織の士気を守ることも重要です。
適切な手続きを踏み、公正かつ冷静に対応することで、企業の健全な運営を維持しましょう。
弁護士への相談をお勧めします
横領・不正行為を行った問題社員への対応を誤ると、深刻な労働紛争や訴訟リスクを招く可能性が高まります。四谷麹町法律事務所では、問題社員(一般にモンスター社員とも言われている)への対応に関し、個別の注意指導や懲戒処分、退職勧奨など、企業側の立場に立った具体的なサポートを行っています。横領・不正行為を行った問題社員の対応でお悩みの際は、会社側専門の経験豊富な四谷麹町法律事務所にぜひご相談ください。