問題社員

横領や不正受給を行った社員が自主退職を申し出てきた場合の対応|懲戒解雇すべきか?

動画解説

はじめに

 会社の資金を横領したり、不正受給を行った問題社員(一般にモンスター社員とも言われている。)が自主退職を申し出た場合、経営者としてどのように対応すべきか悩むことは少なくありません。単に退職を認めるだけでよいのか、それとも懲戒解雇を検討すべきか、慎重な判断が求められます。特に、社内の規律を維持する観点から、適切な対応を取らなければ、他の社員の士気や会社の信頼性に悪影響を及ぼす可能性があります。

 本解説では、こうしたケースにおける適切な対応のポイントを詳しく解説し、どのような判断が企業にとって最善となるのかを考察していきます。

横領や不正受給を行った社員が自主退職を申し出るケースとは?

 横領や不正受給を行った社員が会社に対して自主退職を申し出るケースは、一般的に以下のような背景があります。

  • 会社が不正行為を発見し、本人が責任を問われる前に退職しようとする場合
  • 社内調査の結果、不正が明らかになり、本人が追及を避けるために退職を決意する場合
  • 経営陣や人事部が問題社員への対応として自主退職を促すケース

 このようなケースでは、社員の処遇をどのように決定するかが重要なポイントとなります。単に自主退職を認めるだけでは、社内の秩序が乱れたり、他の社員に悪影響を与える可能性があるため、慎重な判断が求められます。

自主退職と懲戒解雇の選択基準

 横領や不正受給が発覚した場合、企業側が最優先すべきことは以下の3点です。

  1. 不正取得した金銭の回収
     不正に得た資金がある場合、まずは返還を確実にすることが最重要課題です。そのため、金額を明確にし、返還に関する合意を文書化する必要があります。
  2. 企業の信用と社内秩序の維持
     会社内で「不正をしても返金すれば許される」という認識が広まると、社内のモラルが低下し、将来的に類似の問題が発生する可能性が高まります。そのため、場合によっては懲戒処分を行うことで厳格な姿勢を示す必要があります。
  3. 法的リスクの最小化
     懲戒解雇を選択した場合、社員が不服を申し立てて裁判で争われる可能性があります。企業側が全面勝訴したとしても、裁判には時間やコストがかかり、経営者や人事担当者の負担も大きくなります。そのため、法的リスクを考慮しながら慎重に判断する必要があります。

懲戒解雇を選択すべきケース

 以下のようなケースでは、懲戒解雇の選択が適切である可能性が高いです。

  • 被害金額が大きく、会社の財務に深刻な影響を及ぼす場合
  • 組織全体のモラルハザードを防ぐために厳格な対応が必要な場合
  • 横領や不正受給の事実が明確で、裁判でも解雇の正当性を立証できる場合
  • 社員が反省の意思を見せず、再発の可能性が高い場合

 懲戒解雇を実施する際は、就業規則に基づき、適切な手続きを踏むことが不可欠です。具体的には、事実関係の調査、証拠の確保、懲戒委員会の開催などを行い、慎重に進める必要があります。

自主退職を受け入れるべきケース

 一方で、以下のようなケースでは、自主退職を認める選択も考えられます。

  • 被害金額が少額であり、裁判で争うリスクを回避したい場合
  • 不正行為の事実を本人が認め、速やかに退職を申し出た場合
  • 会社の管理体制にも問題があったと判断される場合
  • 裁判や労働審判で争うことが会社にとって大きな負担となる場合

 自主退職を受け入れる場合、必ず退職届を提出させることが重要です。また、場合によっては退職合意書を取り交わし、不正取得した金銭の返還や退職後の守秘義務について明確にしておくことが望ましいでしょう。

退職手続きを確実に進めるためのポイント

 自主退職を認める場合でも、適切な手続きを踏まなければ、後々トラブルに発展する可能性があります。

  1. 退職届の提出を確保する
     口頭の申し出だけではなく、必ず文書で退職の意思を確認しましょう。
  2. 退職合意書を交わす
     退職条件や金銭の返還について明確にし、双方の合意を得た上で書面で取り交わしておくと安全です。
  3. 退職意思を正式に承認する
     退職の承認は、権限のある役員や社長が正式に行い、書面やメールなどで本人に通知しておくことで、撤回を防ぐことができます。

まとめ

 横領や手当の不正受給を行った問題社員への対応は、企業の信用や社内の秩序に直結するため、経営者として適切な判断を求められます。

 四谷麹町法律事務所では、横領や手当の不正受給を行った問題社員への個別の注意指導や懲戒処分、退職手続き等について、具体的なサポートを行っています。さらに、状況によっては企業側代理人として、問題社員や、相手の代理人弁護士との交渉も行っています。訴訟や労働審判になる前の段階から適切な対応を行うことで、企業側の負担を軽減し、トラブルの早期解決が可能となります。問題社員の対応でお悩みの際は、会社側専門の経験豊富な四谷麹町法律事務所にぜひご相談ください。

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