退職勧奨を断られた後の異動は要注意!企業が取るべき適切な対応とは

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企業が業務効率化や職場環境の改善を目的として退職勧奨を行うことは珍しくありません。しかし、退職勧奨を提案しても社員が拒否するケースは少なくなく、その後の人事異動や業務変更が問題を引き起こすこともあります。本記事では、退職勧奨を断られた後に適切な人事を行うための注意点について解説します。
退職勧奨を断られた後の企業の対応
退職勧奨が断られた場合、企業としては業務上の必要性から社員の配置転換や業務内容の変更を検討することになります。しかし、このような措置が「嫌がらせ」や「不当な配置転換」と受け取られると、労働紛争に発展する可能性があります。
例えば、
- 支店閉鎖に伴い、遠方の支店へ異動を命じる
- 担当業務を縮小し、別の業務に従事させる
- 職場の人間関係が悪化しているため、環境を変える目的で異動させる
こうした対応は、一見合理的に思えますが、労働者の視点では「退職を強要するための措置」と受け取られることがあり、労働審判や裁判の対象となることもあります。
労働紛争のリスクを最小限にするためのポイント
退職勧奨後の人事異動が「報復措置」と見なされないようにする
退職勧奨を断られた直後に異動や業務変更を行うと、労働者から「不当な動機による人事異動」と主張される可能性が高くなります。裁判では、企業側に「合理的な理由があった」ことを証明する責任が生じるため、以下の点に注意する必要があります。
- 人事異動の理由を明確に説明する:
- 組織再編や事業縮小など、業務上の必要性を示す
- これまでの人事方針と一貫性があることを示す
- 対象者の適性やキャリアに配慮する:
- 配置転換先の業務が本人の経験やスキルに合っているか検討する
- 労働条件の大幅な変更(勤務地・給与・職務内容など)がないか確認する
- 異動前に本人の意向を聞く:
- 本人の希望や意見を確認し、できる限り尊重する
- 「この業務に適性があると思いますが、ご自身ではどう考えますか?」など、選択肢を提示する
退職勧奨の前に複数の選択肢を提示する
労働者が「会社から一方的に退職を求められた」と感じることが、紛争の原因となります。そのため、退職勧奨を行う前に、以下のような選択肢を提示することが有効です。
- 異動や業務変更の可能性を先に提示する
- 「支店閉鎖に伴い、○○支店への異動を提案したいのですが、ご意向はいかがでしょうか?」
- 「現在の業務縮小に伴い、別の業務をご担当いただくことになりますが、ご興味のある分野はありますか?」
- 退職勧奨を「選択肢の一つ」として提示する
- 「異動や業務変更が難しい場合、会社としては退職パッケージもご用意できますが、どの選択肢が最もご自身にとって良いとお考えでしょうか?」
このように、労働者が納得できる形で意思決定できる環境を整えることが重要です。
言葉遣いに注意し、慎重に対応する
退職勧奨を拒否した社員との対話では、言葉の選び方が非常に重要になります。感情的にならず、冷静かつ誠実に説明を行い、以下の点に注意しましょう。
- 不要な対立を生まない言い方をする
- ×「退職を断った以上、この異動は受け入れてもらうしかない」
- ○「業務上の必要があり、適正を考慮した結果、この部署での勤務をご提案します」
- 相手の話を丁寧に聞く
- 労働者の不満や疑問に耳を傾け、適切に対応する
- 理由を明確に伝える
- 「この部署への異動をお願いする理由は、○○の業務拡大に伴い、新たな人員配置が必要になったためです」と具体的に説明する
弁護士と相談しながら慎重に進める
退職勧奨を拒否された後の人事異動は、労働紛争のリスクが高い場面の一つです。特に問題社員(一般にモンスター社員とも言われている。)の対応では、慎重な判断が求められます。
四谷麹町法律事務所では、問題社員への対応に関して、個別の注意指導や懲戒処分、退職勧奨等について、具体的なサポートを行っています。さらに、状況によっては企業側代理人として、問題社員や、相手の代理人弁護士との交渉も行っています。
訴訟や労働審判になる前の段階から適切な対応を行うことで、企業側の負担を軽減し、トラブルの早期解決が可能となります。問題社員の対応等の労働問題でお悩みの際は、会社側専門の経験豊富な四谷麹町法律事務所にぜひご相談ください。