2025.03.19
社員の転勤・配置転換トラブルを防ぐ!健康・介護問題への適切な対応とは

目次
動画解説
会社経営者にとって、社員の転勤対応は避けて通れない課題の一つです。特に、社員本人の健康問題や家族の介護事情が関わる場合には、慎重な判断が求められます。
会社としては、事業運営の都合上、転勤を命じる必要がある一方で、社員の事情を無視した一方的な命令は、法的リスクを招く可能性があります。本記事では、転勤に関する法的な注意点や、企業が適切に対応するためのポイントを解説します。
健康上の理由で転勤を拒否された場合の対応
社員が健康上の理由で転勤を拒否するケースは珍しくありません。例えば、
- 本人が持病を抱えており、転勤先では適切な医療機関がない
- 重篤な病気を持つ家族の世話をする必要がある
といった事情が考えられます。
このような場合、企業側が単に「転勤は業務命令だから従うべき」と押し通すのは適切ではありません。健康や家族の事情を軽視すると、社員が退職するだけでなく、転勤命令自体が「権限の濫用」と判断され、無効とされるリスクもあります。
法的リスクを回避するために
- 事情の確認
まずは社員の健康状態や家族の事情について詳細にヒアリングすることが重要です。診断書などの証拠を提出してもらうことで、客観的な判断が可能になります。 -
代替案の検討
- 在宅勤務の導入
- 期間限定の異動免除
- 本人の希望を踏まえた勤務地の調整
これらの措置を検討することで、企業側の負担を抑えつつ、社員の事情に配慮した対応が可能になります。
- 法的根拠の確認
介護休業法26条では、企業は転勤に際し、社員の介護事情を考慮する義務があるとされています。転勤命令がこの配慮を欠いたものと判断されると、無効となる可能性があるため、慎重な対応が求められます。
介護事情による転勤拒否への対応
日本社会の高齢化が進む中で、社員が親の介護を理由に転勤を拒否するケースも増えています。このような場合、会社はどのように対応すべきでしょうか。
配慮義務を怠るとどうなるか
企業が介護事情を無視して転勤を強要した場合、社員が退職するだけでなく、以下のリスクも発生します。
- 労働審判や訴訟に発展し、転勤命令の無効が争われる
- 会社の評判が悪化し、採用活動に悪影響を及ぼす
- 他の社員のモチベーション低下につながる
企業が取るべき対応
- 事実確認の徹底
- 介護の具体的な状況(介護が必要な家族の状態、本人の負担など)を把握する
- 介護認定の有無や、公的な介護サービスの利用状況を確認する
- 柔軟な勤務制度の導入
- 転勤を伴わない業務への配置転換
- 在宅勤務や時短勤務の許可
- 会社の方針を明確化
社内規定に「介護事情による転勤免除の基準」を明確にし、他の社員との公平性を担保することも重要です。
問題社員(一般にモンスター社員とも言われている。)への対応
転勤を拒否する社員の中には、会社の方針や業務命令に従わず、交渉の余地がないケースもあります。特に、
- 転勤命令が就業規則で定められているにも関わらず、一方的に拒否する
- 会社側が十分な配慮をしているのに、受け入れようとしない
このような社員への対応は慎重に行う必要があります。
適切な対応方法
- 就業規則の確認と説明
転勤に関する規定が明確に記載されている場合、それをもとに社員に説明し、理解を求めることが重要です。 - 合理的な理由がない場合は指導を行う
転勤を正当な理由なく拒否し続ける社員には、書面による指導や注意喚起を行い、それでも従わない場合は懲戒処分を検討する必要があります。 - 法的手段の検討
最終的に、転勤拒否が業務に重大な支障をきたす場合は、解雇を含めた法的対応を取ることも視野に入れましょう。
まとめ
転勤を命じる際には、社員の健康状態や介護事情を十分に考慮し、法的リスクを最小限に抑えることが重要です。特に、
- 社員の健康や介護の状況を詳細に把握する
- 法律に基づいた配慮を行う
- 柔軟な対応策を講じる
- 問題社員には適切な手続きを踏む
転勤対応でお困りの際は、早めに専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
四谷麹町法律事務所は、会社経営者の皆様を労働問題のストレスから解放したいという強い思いのもと、日本全国各地の会社経営者のために、労働問題の予防解決に当たっています。また、労働問題は、訴訟や労働審判になる前の段階から適切な対応を行うことで、企業側の負担を軽減し、トラブルの早期解決が可能となります。
会社経営者を悩ます労働問題は、四谷麹町法律事務所にご相談ください。