2025.08.19
「すぐに退職する社員」への効果的な対応策とは?企業風土と業務適性を見極める採用の工夫

目次
動画解説
はじめに
会社の皆様にとって、採用した社員が入社して数ヶ月以内に退職してしまうのは本当に残念なことです。縁あって迎えた人材なのに、その関係が短期間で途切れてしまうのは非常に痛手です。しかも現在は人手不足が深刻で、採用にかかるコストや手間、時間も決して小さな負担ではありません。こうした負担を少しでも軽減するために、どのような対策ができるでしょうか。
残念ながら、「これさえやっていれば絶対に大丈夫」というような魔法的な対策は存在しませんし、これさえあれば十分という条件もありません。ただ、多くの企業に当てはまるような、少なくとも押さえておくべきポイントはあります。その中で、弁護士としての経験から特に重視しているのが、「企業風土」と「担当業務との適合」の2点です。本日はその観点に絞って詳しくお話しします。
なぜすぐ辞めてしまうのかをどう考えるか
まず、どうしてすぐに辞めてしまうのでしょうか。確かに、一部の方には「どこへ行っても辞めてしまう傾向がある」タイプもいるかもしれません。しかし、それは少数派と考えられます。他にも退職につながる要因は多岐にわたり、オンボーディング施策の不足、賃金や福利厚生の不十分さ、ワークライフバランスへの配慮不足など、検討すべきことは多数あります。
とはいえ、私が特に重視しているのは「企業風土に合っているかどうか」と「担当業務との相性」です。私が関与してきた企業の中には、同業他社よりも高い給料を提示していたにもかかわらず退職者が相次いだケースが少なくありません。こうした経験からも、給料だけでは人が定着しないことを痛感しています。
最も重視すべき「企業風土との相性」
まずは、自社の企業風土に合った人材とはどんな人物なのか、考えたことがありますか?直感で「この人合いそうだ」と感じることも大切です。ただ、それだけでは精度が不十分な場合もあります。直感だけではなく、理論的な分析を合わせることで、面接の精度が格段に向上します。
具体的には、長く勤めて活躍している社員の行動パターンや思考パターンを分析し、それを採用の基準に反映するという方法があります。たとえば、活躍する社員に共通する価値観や行動特性を洗い出し、それに合わせた質問やテストを面接に取り入れるのです。こうした取り組みにより、企業風土にフィットする人材の採用につながります。
企業風土とのミスマッチのリスクとその対策
企業風土を変えるために敢えて異なるタイプの人材を採用したいというケースもあります。ただし、企業風土に合わない社員は孤立しやすく、早期退職につながることが多いのが現実です。もしそうした方を採用する場合には、どのようにサポートするかを事前に具体的に計画・実施する必要があります。それが難しい場合は、むしろ企業風土に合った人材を採るほうが、長期的な定着には適しています。
一方で、専門性が極めて高く、一定期間だけ活躍してもらうことが前提の、「一時的な迎え入れ」的な採用(例えば企業変革のために招聘する「一時的な専門家」など)はあり得ます。ただし、長期雇用を前提としない採用であれば、その目的に合致する明確な契約や役割を設ける必要があります。
担当業務との適性を見極めることの重要性
企業風土との相性と並び重要なのが、担当業務との適性です。たとえば、業務上特定のスキルが必須である場合、「WordやExcel、PowerPointが使える」と書かれていても、実際に使ってみると拙いケースは珍しくありません。
ここで重要なのは、「やらせてみればすぐに分かる」スキルである以上、採用プロセスで実技テストを導入することが極めて有効だという点です。スキルチェックは、相手を疑うというよりも、採用後のミスマッチを未然に防ぐための最も確実な方法なのです。
専門性の高い職種では現場高業績者の参加が鍵
専門職採用では、面接に当該職種で既に高いパフォーマンスを上げている社員を加えることがとても有効です。単に人事部や採用担当者だけで判断するのではなく、業務に精通した社員が見ることで、候補者の適性をより正確に見極められます。
ゼネラリスト採用でも適性確認は不可欠
職種を限定しないゼネラリスト採用でも、適性の確認は重要です。候補者が将来的にどの業務でも一定レベル以上のパフォーマンスを出せるかを見極められるよう、多様な業務に対応できる能力や、苦手分野が少ないかどうかを重視するのが無難です。場合によっては、特定分野に秀でていれば他が多少不得意でも採用する判断もあり得ますが、その場合は配置や支援に十分な配慮が必要です。
長く勤めてもらうための最終的なポイント
本日は「入社してすぐに退職してしまう社員への対応策」を軸に、まずは採用段階で企業風土と担当業務への適性をしっかり見極めること、そして採用後にオンボーディング施策を含めた定着支援を行うこと、この2つが特に重要であるとお伝えしました。
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