2025.03.13
問題社員への注意指導と証拠確保の重要ポイント

目次
動画解説
会社経営者の皆様、問題社員への注意指導を行う際に、証拠の確保をどのように進めていますか?
「注意指導を行ったが、後で『そんなことは言われていない』と否定された」「証拠が不十分で、トラブルが長期化してしまった」といった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、問題社員に対する注意指導の際に、適切な証拠を確保するための注意点について解説します。
注意指導の目的を明確にする
証拠を残すことは重要ですが、注意指導の本来の目的は「問題行動の改善」です。証拠確保ばかりを意識しすぎると、指導の本質が失われ、教育効果が薄れてしまいます。
具体的な事実を伝える
注意指導では、「いつ」「どこで」「誰が」「どのように」「何をしたのか」を具体的に伝えることが重要です。
● 悪い例:「あなたは協調性がない」「態度が悪い」
● 良い例:「○月○日、会議中に上司の指示を無視し、他の業務を続けた」
抽象的な指摘では、社員が何を改善すべきかわかりにくくなり、注意指導の効果が低下します。
証拠を確保する方法
注意指導を行った証拠を残す方法はいくつかあります。ここでは、代表的な方法を紹介します。
メモや記録を残す
手書きのメモや、Wordファイルなどに指導内容を記録するのは基本的な方法です。ただし、自分しか読めない文字や省略しすぎた内容では証拠価値が下がるため、以下のポイントを押さえましょう。
● 具体的な事実を記載する:「○月○日、○時ごろ、○○にて○○を行った」
● 指導の内容を明記する:「どのように改善すべきか、どのような指導を行ったか」
上司への報告書・メール
管理職が部下に注意指導を行った場合、上司へ報告書を提出させることで、より具体的な証拠を残すことができます。
● 報告書:フォーマルな書面として管理する
● メール報告:手軽に記録を残せる方法
報告書やメールの記録は、裁判などの際にも証拠として有効になるため、重要なケースでは積極的に活用しましょう。
録音・録画の活用
注意指導の場面を録音・録画することで、客観的な証拠を残すことができます。ただし、以下の点に注意が必要です。
● 相手に録音の意図を伝えると警戒されることがある
● 録音することで、双方が慎重になり、無難な内容になりやすい
● 長時間の録音は後で整理が大変になるため、必要な部分のみ記録する
本人からの説明書・顛末書の取得
問題社員に対して、注意指導後に「顛末書」や「事情説明書」を書かせることで、社員自身の認識を確認し、記録を残すことができます。
● 注意点:「説明書の提出を求めることが懲戒処分の一環と見なされる場合があるため、慎重に進める」
● 対策:「事実確認のための書面として求める形にする」
厳重注意書の交付
問題行動が重大な場合は、書面で「厳重注意書」を渡し、社員にサインを求めることも有効です。
● 具体的な内容を明記する:「問題行動の詳細」「改善指導の内容」「今後の対応」
● 懲戒処分と併用する場合は慎重に
証拠確保は問題行動の改善を目的とする
注意指導において最も大切なのは、問題行動の改善です。証拠確保を目的にしすぎると、指導の意図が伝わらず、社員の行動改善につながりません。
● 指導の目的を忘れず、教育効果を意識する
● 的な事実を伝え、改善策を明示する
● 証拠は補助的なものとして適切に活用する
四谷麹町法律事務所では、問題社員への対応に関して、懲戒処分の進め方や指示の出し方、社員への対応方法について具体的なサポートを行っています。さらに、状況によっては企業側代理人として、問題社員や、相手の代理人弁護士との交渉も行っています。
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