2025.06.17
社員によるSNS誹謗中傷の企業リスクと初動対応|拡散防止と再発防止策を弁護士が解説

目次
- 1 動画解説
- 2 SNSによる誹謗中傷が企業にもたらす深刻な影響
- 3 誹謗中傷投稿が発見された際の初動対応と抑止策
- 4 投稿者が特定できる場合の適切な面談対応と再発防止
- 5 投稿者が特定できない場合の調査・警告の有効性
- 6 SNSによる誹謗中傷が企業にもたらす深刻な影響
- 7 誹謗中傷投稿が発見された際の初動対応と抑止策
- 8 投稿者が特定できる場合の適切な面談対応と再発防止
- 9 投稿者が特定できない場合の調査・警告の有効性
- 10 社内ルールの整備と平時からの教育の重要性
- 11 懲戒処分・損害賠償請求を検討する際の判断基準
- 12 名誉毀損・信用毀損に該当するかの法的評価と対応
- 13 裁判リスクも踏まえた慎重な判断と弁護士への相談
動画解説
SNSによる誹謗中傷が企業にもたらす深刻な影響
SNS上で社員が会社や上司を誹謗中傷する投稿をした場合、その影響は非常に大きく、看過できるものではありません。まず社内においては、そうした投稿が事実か否かにかかわらず、社員の士気を低下させ、職場の雰囲気を悪化させる恐れがあります。「自分の会社は本当に信頼できるのか」と疑念を抱く社員が出てきても不思議ではありません。さらにそのような疑念が蔓延すると、良好なチームワークが失われ、業務に支障を来す可能性もあります。
対外的にも問題は深刻です。SNSの投稿を見た取引先が誤解をし、信用を失うことで取引関係に悪影響を及ぼすおそれがあります。特にSNSは情報の拡散が早く、企業イメージの失墜は一気に広がりかねません。また、求人への影響も無視できません。求職者が企業の評判を確認する際にSNSでの誹謗中傷を目にした場合、「この会社で働くのは不安だ」と応募を見送る可能性も十分にあるのです。
このように、誹謗中傷の投稿は社内外に悪影響を及ぼすため、企業としては迅速に対応しなければなりません。放置しておけば、さらに大きな問題へと発展する可能性があるからです。
誹謗中傷投稿が発見された際の初動対応と抑止策
SNS上に会社や上司に対する誹謗中傷が投稿されていることが発覚した場合、企業として最も優先すべきは、被害の拡大を防ぐことです。懲戒処分や損害賠償請求を視野に入れるとしても、まずは投稿そのものを削除させ、今後の投稿をやめさせることが急務です。
具体的には、投稿の証拠を確保(画面キャプチャやURL保存など)した上で、当該社員との面談を行います。その際、「なぜそのような投稿をしたのか」を確認し、投稿が企業の名誉・信用を毀損し、重大な悪影響を及ぼす行為であることをしっかり説明します。多くの場合、軽い気持ちで投稿してしまったというケースもあり、きちんと説明することで本人が納得し、投稿を削除する例も少なくありません。
投稿が業務時間中に行われた場合には、職務専念義務違反という側面もあるため、その点も指摘すべきです。再発防止のためには、今後類似の行為が繰り返された場合には懲戒処分や損害賠償請求の対象になる可能性があることも伝え、注意を促します。
投稿者が特定できる場合の適切な面談対応と再発防止
投稿者が特定できる場合、早期の面談による対応が極めて有効です。多くの場合、SNSで誹謗中傷を行う社員は、会社や上司に対する不満を抱えていることが背景にあります。単に叱責するだけでなく、「なぜそのような投稿に至ったのか」という背景事情を丁寧に聴き取ることで、今後の対応方針を定めるうえで重要な手がかりが得られます。
また、本人に対しては「誹謗中傷によって企業に与える損害の大きさ」「社員としての行動規範」「労働契約上の義務」などを説明し、なぜ投稿が許されないのかをしっかりと認識させることが必要です。軽い気持ちで投稿していた場合でも、こうした説明によって理解を得られるケースもあります。
さらに、同様の行為を繰り返させないためには、不満がある場合に正規のルートで相談できる体制を整えておくことも大切です。上司、人事、または社長など、相談先を明確に伝えることで、不満をSNSに投稿するという誤った対応を防ぐことができます。
投稿者が特定できない場合の調査・警告の有効性
投稿者が特定できないケースも少なくありません。しかし、このような場合でも企業としては対応を怠ってはいけません。たとえば、投稿内容から社内の限られた人物が情報源であると推測されるような場合には、関係がありそうな複数の社員に対して個別に面談を行うという対応が考えられます。
面談においては、「問題のある投稿があったこと」「会社として重大な問題と認識していること」「調査を行っていること」などを伝えることがポイントです。仮に誰も認めなくても、会社が問題に対して本気で対応している姿勢を見せることに意味があります。抑止効果が期待でき、結果として投稿が削除されることもあります。
また、社内全体への注意喚起として、朝礼などで「こういった投稿があり問題視している」「心当たりのある人は申し出てほしい」といったメッセージを伝える方法も有効です。犯人の特定に至らなくても、被害拡大を防ぎ、投稿の抑止につながる可能性があります。
SNSによる誹謗中傷が企業にもたらす深刻な影響
SNS上で社員が会社や上司を誹謗中傷する投稿をした場合、その影響は非常に大きく、看過できるものではありません。まず社内においては、そうした投稿が事実か否かにかかわらず、社員の士気を低下させ、職場の雰囲気を悪化させる恐れがあります。「自分の会社は本当に信頼できるのか」と疑念を抱く社員が出てきても不思議ではありません。さらにそのような疑念が蔓延すると、良好なチームワークが失われ、業務に支障を来す可能性もあります。
対外的にも問題は深刻です。SNSの投稿を見た取引先が誤解をし、信用を失うことで取引関係に悪影響を及ぼすおそれがあります。特にSNSは情報の拡散が早く、企業イメージの失墜は一気に広がりかねません。また、求人への影響も無視できません。求職者が企業の評判を確認する際にSNSでの誹謗中傷を目にした場合、「この会社で働くのは不安だ」と応募を見送る可能性も十分にあるのです。
このように、誹謗中傷の投稿は社内外に悪影響を及ぼすため、企業としては迅速に対応しなければなりません。放置しておけば、さらに大きな問題へと発展する可能性があるからです。
誹謗中傷投稿が発見された際の初動対応と抑止策
SNS上に会社や上司に対する誹謗中傷が投稿されていることが発覚した場合、企業として最も優先すべきは、被害の拡大を防ぐことです。懲戒処分や損害賠償請求を視野に入れるとしても、まずは投稿そのものを削除させ、今後の投稿をやめさせることが急務です。
具体的には、投稿の証拠を確保(画面キャプチャやURL保存など)した上で、当該社員との面談を行います。その際、「なぜそのような投稿をしたのか」を確認し、投稿が企業の名誉・信用を毀損し、重大な悪影響を及ぼす行為であることをしっかり説明します。多くの場合、軽い気持ちで投稿してしまったというケースもあり、きちんと説明することで本人が納得し、投稿を削除する例も少なくありません。
投稿が業務時間中に行われた場合には、職務専念義務違反という側面もあるため、その点も指摘すべきです。再発防止のためには、今後類似の行為が繰り返された場合には懲戒処分や損害賠償請求の対象になる可能性があることも伝え、注意を促します。
投稿者が特定できる場合の適切な面談対応と再発防止
投稿者が特定できる場合、早期の面談による対応が極めて有効です。多くの場合、SNSで誹謗中傷を行う社員は、会社や上司に対する不満を抱えていることが背景にあります。単に叱責するだけでなく、「なぜそのような投稿に至ったのか」という背景事情を丁寧に聴き取ることで、今後の対応方針を定めるうえで重要な手がかりが得られます。
また、本人に対しては「誹謗中傷によって企業に与える損害の大きさ」「社員としての行動規範」「労働契約上の義務」などを説明し、なぜ投稿が許されないのかをしっかりと認識させることが必要です。軽い気持ちで投稿していた場合でも、こうした説明によって理解を得られるケースもあります。
さらに、同様の行為を繰り返させないためには、不満がある場合に正規のルートで相談できる体制を整えておくことも大切です。上司、人事、または社長など、相談先を明確に伝えることで、不満をSNSに投稿するという誤った対応を防ぐことができます。
投稿者が特定できない場合の調査・警告の有効性
投稿者が特定できないケースも少なくありません。しかし、このような場合でも企業としては対応を怠ってはいけません。たとえば、投稿内容から社内の限られた人物が情報源であると推測されるような場合には、関係がありそうな複数の社員に対して個別に面談を行うという対応が考えられます。
面談においては、「問題のある投稿があったこと」「会社として重大な問題と認識していること」「調査を行っていること」などを伝えることがポイントです。仮に誰も認めなくても、会社が問題に対して本気で対応している姿勢を見せることに意味があります。抑止効果が期待でき、結果として投稿が削除されることもあります。
また、社内全体への注意喚起として、朝礼などで「こういった投稿があり問題視している」「心当たりのある人は申し出てほしい」といったメッセージを伝える方法も有効です。犯人の特定に至らなくても、被害拡大を防ぎ、投稿の抑止につながる可能性があります。
社内ルールの整備と平時からの教育の重要性
SNS上の不適切な投稿を防ぐには、日頃からのルール整備と教育が不可欠です。就業規則や社内ガイドラインにおいて、SNSでの投稿について具体的に定め、「名誉・信用を毀損するような内容は投稿してはいけない」と明文化しておくことが重要です。
また、定めたルールを周知徹底するだけでなく、定期的に研修などを通じて「なぜそのような投稿が問題となるのか」「投稿によってどのような不利益が生じるのか」といったことを教育することで、社員一人ひとりの意識を高めることができます。
特に誤って誹謗中傷にあたるような投稿をしてしまう“うっかりミス”を防ぐには、繰り返しの教育が効果的です。ルールの整備と教育活動によって抑止力が高まり、トラブルの未然防止につながります。
懲戒処分・損害賠償請求を検討する際の判断基準
投稿内容が企業秩序や信用に対して著しく悪影響を与えるものである場合には、懲戒処分を検討する必要があります。ただし、その重さや処分の種類は慎重に判断しなければなりません。
判断基準としては、誹謗中傷の内容の程度、企業秩序への悪影響、過去に同様の行為を行っていないか、注意を受けていたかどうか、などを総合的に勘案して決定します。軽微な場合には厳重注意にとどめることもありますが、悪質な場合は懲戒解雇や損害賠償請求も視野に入ります。
特に損害賠償請求については、実際の被害回復は困難なことが多いため、慎重な対応が必要です。裁判で一部賠償が認められたとしても、企業の実損を完全に補填できるとは限らないため、訴訟に踏み切るかどうかは、弁護士に相談した上で判断するのが現実的です。
名誉毀損・信用毀損に該当するかの法的評価と対応
SNS投稿の内容が名誉毀損や信用毀損に該当するかどうかは、法律上の基準に照らして慎重に検討する必要があります。一般的には、人格的価値や社会的評価を下げる表現が含まれているかどうかが判断基準となります。
社会通念に照らして、一般の人が普通に読んでどう感じるかという視点から評価され、「よく読めば誤解されない」という程度の主張では足りません。また、公益性や真実性があるかどうかも違法性の判断に影響します。
仮に事実を述べていたとしても、その内容が人身攻撃的であったり、公益目的でない場合には、違法とされる可能性があります。違法性があるかどうかの判断は専門的な知見が必要となるため、弁護士に相談することをおすすめします。
裁判リスクも踏まえた慎重な判断と弁護士への相談
裁判に発展した場合、仮に企業側の請求が認められなければ、かえって企業の評判を損ねることにもなりかねません。そのため、名誉毀損や損害賠償請求を行う場合には、事前にしっかりとリスクを検討し、訴えるべきかどうかを冷静に判断することが大切です。
投稿の真実性や公益性、違法性の有無など、複数の法律的観点から総合的に判断する必要があり、専門的な知識が求められます。企業が誤った判断をしてしまうと、トラブルがさらに深刻化するリスクもあります。
そのため、SNS上の誹謗中傷に対して企業が対応を検討する際には、早めに弁護士に相談し、個別の事情に応じたアドバイスを得ることが重要です。正確な法的知識に基づいた対応が、企業のリスクを最小限に抑える鍵となります。
四谷麹町法律事務所では、SNS上の誹謗中傷対応について、投稿の抑止から証拠の確保、調査・面談の進め方、さらには懲戒処分や損害賠償請求の検討に至るまで、企業側の立場で幅広いサポートを行っています。問題投稿が発覚した初期段階からご相談いただくことで、トラブルの拡大を防ぎ、適切な対応が可能となります。SNSに関する社員の問題でお困りの際は、ぜひ四谷麹町法律事務所へご相談ください。