2025.08.19
「あまり働かない社員」への対応法とは?人事制度を変えずにモチベーションを保つ実践策

動画解説
はじめに
本日は「あまり働かない社員」がいることで、職場全体のモチベーションが下がってしまっているという問題について解説します。特に、熱心に働いている社員が「あまり働かない社員」との格差を感じ、不満を募らせてしまう状況において、どう対応するべきかというテーマです。
中には、「仕事を辞めたい」と訴える優秀な社員も出てきているという現場の声もあります。問題の背景には、人事制度上、若いうちは熱心に働いても、そうでなくても昇進や給与額にほとんど差がつかない仕組みがあるようです。とはいえ、このような人事制度をすぐに見直すのは難しいという企業も多く、実際に「制度は変えられないが、どうにかしてやる気ある社員のモチベーションを維持したい」という相談が寄せられています。
そこで今回は、人事制度を変更しない前提で、現場で実行できる現実的な対処法について、私が重視している二つの方法を紹介します。
モデルケースとなる先輩社員の存在
まず一つ目は、「自分も将来こうなりたい」と思える先輩社員の存在です。人は、自分が目指せる未来が見えるときに最もやる気を出すものです。たとえば、社内にいる先輩が、熱心に働いて成果を上げ、社長からも信頼され、部下からも慕われ、待遇面でも評価されているとしたら、「自分もいつか、ああなりたい」と思うことでしょう。
逆に、社内にロールモデルとなる先輩がいない場合、「頑張ってもどうせ報われない」「あの程度にしかなれない」と感じてしまう可能性があります。そうなってしまうと、せめて待遇で報いてほしいという思いが強まり、仕事への意欲が低下する恐れもあります。
ですから、「この先輩のようになりたい」と思える社員の存在は、会社にとって非常に重要です。企業としても、計画的にモデルケースとなる社員を育て、その活躍を見える形で社内に共有していくことが求められます。
社員の仕事ぶりを正確に把握し、伝える
二つ目は、熱心に働く社員の仕事ぶりを正確に把握し、具体的な事実をもとに認識を伝えてあげることです。これは私が個人的に非常に重視している方法です。
例えば、社長が「昨日の〇時頃、〇〇の場面でこういうことをしていたね。とても良いと思ったよ」と伝えると、社員は「そんなところまで見てくれていたのか」と感じ、強いモチベーションにつながることがあります。
ここで大切なのは、ただ褒めることが目的ではないという点です。むしろ、社員の働きを正確に把握し、具体的な出来事を根拠として伝えること。「しっかり見ているからね」と感じてもらえることが重要です。
逆に、よく見てもいないのに表面的に褒めると、かえって不信感を持たれてしまうこともあります。社員の顔と名前が一致するくらいに関心を持ち、記憶に頼らずとも自然に名前を呼んで声をかけられるような社長の姿勢が、社員にとっては強いインパクトになります。
管理職による対応と注意点
「社員一人ひとりの働きぶりを社長がすべて把握するのは現実的ではない」と感じる場合もあるでしょう。その場合は、上級管理職を中心に各部門のマネージャーに同様の役割を担ってもらうのも一つの方法です。
ただし注意点もあります。仮に、社員のことを的確に把握し、適切に認識を伝えられる優秀な管理職がいた場合、その管理職に人望が集まりやすくなります。これは良い面もありますが、一方で社長の立場が相対的に弱くなってしまう危険も含んでいます。
管理職に人望が集まりすぎることで、社長と組織の力関係にひずみが生じ、最悪の場合は「反乱軍」のような形で対立関係が生まれてしまうこともあります。実際に、大勢の部下を引き連れて管理職が退職してしまったという事例もあるため、この点は慎重に考慮すべきでしょう。
制度を見直すかどうかの判断も視野に
ここまで、人事制度を変えずにモチベーションを維持するための現実的な方法について解説してきました。とはいえ、これらの方法を実行するのがかえって大変だと感じる社長もいらっしゃるかもしれません。
たとえば、「社員の働きぶりを正確に把握して声をかけるなんて、現実的には無理だ」と思われることもあるでしょう。また、「モデルになるような先輩なんて、そう簡単には育たない」と感じる企業もあるかと思います。
それでも、もし今の人事制度が企業風土や社長の経営判断にしっかり根ざしたものであるならば、そこは覚悟を決めてベストを尽くすべきです。他方で、「今の制度はうちの企業風土や経営方針とそぐわないのではないか」と感じた場合には、制度そのものを見直すタイミングなのかもしれません。
四谷麹町法律事務所では、働かない社員や問題社員への対応、人事制度の運用・見直し、職場のモチベーション管理などについて、企業側の立場から具体的なアドバイスを行っています。現場の状況に即した対応策をお求めの企業様は、ぜひご相談ください。