2025.08.20
昇格した同僚を妬む社員の正しい対処法|職場秩序を守り人材を活かすマネジメント

動画解説
はじめに
会社の中では、社員一人ひとりの評価や昇格が日々の大きな関心事となります。特に、同じ時期に入社した社員や普段から一緒に仕事をしている同僚が昇格したとき、自分が選ばれなかった社員にとっては複雑な気持ちになるものです。心の中で「悔しい」「自分も評価されたい」と思うのは自然な感情であり、決して否定すべきものではありません。
しかし、その気持ちが表に出てしまい、昇格した同僚と口をきかない、打合せに参加しないといった行動に発展すると、これは組織全体に悪影響を及ぼす深刻な問題となります。仕事を進める上で必要なコミュニケーションが滞り、業務の効率や成果が下がるだけでなく、周囲の社員にも不信感や不安を与えてしまうからです。
このような状況に直面したとき、経営者や管理職はどのように対応すべきでしょうか。単に「未熟な態度だ」「本人が悪い」と切り捨てるのではなく、その社員が本来持っている力や可能性をどうすれば引き出せるのかという視点が必要になります。感情のもつれを放置せず、組織にとって最良の結果を導く対応を考えていくことが、経営者としての大切な役割となるのです。
妬みから生じる問題行動とその影響
昇格した同僚を妬む気持ちは、人間として自然な感情です。しかし、その感情が行動に表れてしまうと、職場の秩序を乱す大きな要因となります。例えば、昇格した同僚に対してあからさまに口をきかなくなる、打合せを欠席する、あるいは必要な情報共有を意図的に怠るといった行動です。これらは一見すると小さな抵抗のように見えるかもしれませんが、実際には業務に直接的な支障をきたす深刻な問題となります。
こうした態度をとる社員がいると、まず仕事の効率が著しく落ちます。打合せに出席しない、意見交換を拒否するといった行動は、プロジェクトの進行を遅らせ、他の社員に余計な負担を強いる結果につながります。また、職場全体の雰囲気にも悪影響が広がります。周囲の社員が気を遣い、不必要に緊張したり、派閥のような空気が生まれてしまうことで、健全な組織運営が難しくなるのです。
さらに問題なのは、本人の評価そのものにも大きなマイナスがついてしまうことです。妬みから生じる不適切な態度は、結果的に「昇格に値しない未熟な人物」という印象を与えます。本人が「自分は認められたい」と思っているにもかかわらず、その行動がかえって評価を下げてしまうという皮肉な状況に陥るのです。
このように、妬みが感情の範囲にとどまるのであれば問題は小さいのですが、現実の行動に現れてしまった場合には、会社全体に深刻な影響を及ぼします。そのため経営者や管理職は、早い段階で適切に対応する必要があるのです。
モチベーション低下へのケア
同僚が昇格し、自分が昇格できなかったことに強い不満や妬みを抱く社員に対して、まず必要なのはモチベーションのケアです。昇格できなかったという事実は、多くの社員にとって「自分は評価されていないのではないか」という誤解や不安を生み出しやすいものです。そのまま放置すれば、組織に対して不信感を募らせ、最悪の場合には退職につながる恐れすらあります。
特に、会社として今後も活躍してほしいと考えている社員に対しては、単に「頑張れ」と励ますだけでは不十分です。会社がその社員をどう評価しているのか、どのような役割を期待しているのかを、できるだけ具体的に説明してあげる必要があります。例えば「今回は昇格の対象にはならなかったが、あなたにはこういう点で期待している」「この部分をさらに伸ばせば、次の機会には昇格を十分に狙える」というように、本人の努力目標を明確に伝えることが有効です。
また、昇格に漏れたことが直ちに「低評価」や「期待していない」ことを意味するわけではないことも、はっきり伝えなければなりません。同僚が選ばれたのはあくまで今回の評価基準や状況によるものであって、本人に将来性がないわけではないのです。その点を正しく理解させることによって、妬みの感情を少しずつ和らげ、前向きな気持ちへと切り替えていくことができます。
もちろん、妬みが行動として表れてしまっている以上、その態度自体は改善を求める必要があります。しかし、単なる叱責だけでは逆効果となりがちです。感情を受け止めたうえで「あなたに期待しているからこそ、こうした態度は改めてほしい」と伝えることで、本人も納得しやすくなります。
経営者や管理職にとって、社員一人ひとりの心理的ケアに時間を割くのは大変かもしれません。しかし、ここで誤解を解き、モチベーションを立て直すことができれば、将来的に大きな戦力として育ってくれる可能性も高いのです。
配置転換という選択肢
同僚の昇格に強い不満を抱き、その感情が職場での態度に表れてしまっている場合、モチベーションのケアと並行して検討すべきなのが配置転換です。妬みの感情が持続すると、昇格した同僚との関わりが避けられず、そのたびに不満が再燃して職場全体の空気を悪化させかねません。こうした状況を長引かせるのは、本人にとっても組織にとっても望ましくないのです。
配置転換には、直接的な問題を和らげる効果があります。例えば、昇格した同僚と日常的に顔を合わせる環境から離れることで、本人の感情が落ち着き、仕事に集中しやすくなるケースは少なくありません。人間関係の摩擦が強い場合には、一時的に距離を取ることが最も現実的な解決策となることもあるのです。
もっとも、配置転換はあくまで応急措置にすぎません。根本的には、本人が昇格できなかった現実を受け入れ、自分の成長へと意識を切り替えることが必要です。そのため、配置転換を行う際には必ず「この異動はあなたを否定するものではない」「今後の成長や活躍を見据えた判断である」と説明し、誤解を与えないよう注意を払わなければなりません。
また、配置転換先で同じような不満や態度が繰り返されれば、問題は解決しません。したがって、異動と同時に具体的な改善目標や今後の評価基準を伝え、本人が前向きに努力できる環境を整えることが不可欠です。配置転換そのものよりも、異動を通じて「どう成長の機会につなげるか」が重要なポイントになると言えるでしょう。
注意指導と懲戒の必要性
昇格した同僚を妬み、口をきかない、打合せに同席しないといった行為は、組織の円滑な業務遂行を妨げる重大な問題です。感情そのものは個人の自由ですが、それを職場での態度や行動に表し、仕事に支障を及ぼすようになれば、会社としては看過できません。最初は注意指導という形で、なぜその行為が問題なのかを丁寧に伝えることが大切です。「あなたの気持ちは理解できるが、業務上必要なコミュニケーションを拒否することは職務放棄に近い行為である」と具体的に説明し、改善を促すべきでしょう。
注意をしても改善が見られない場合、さらに厳しい対応を検討せざるを得ません。その段階では、文書での厳重注意や、必要に応じて懲戒処分も視野に入ることになります。懲戒と聞くと重い印象を持たれるかもしれませんが、職場秩序を守るためには、場合によって不可欠な措置です。重要なのは「処罰すること自体」ではなく、「これ以上問題行動を繰り返さないようにする」という目的を忘れないことです。
もちろん、懲戒に至る前には、本人の言い分をよく聞き取り、感情の背景や置かれている状況を理解する努力を尽くすべきです。その上で、それでも業務妨害や職場への悪影響が続くようであれば、毅然とした対応が必要になります。厳重注意や懲戒処分は、本人にとっても「これ以上は許されない」という明確なメッセージとなり、改善への大きなきっかけになることも少なくありません。
つまり、注意指導と懲戒は社員を追い詰めるためのものではなく、組織の秩序を守りつつ本人に改善の機会を与えるための重要なステップです。経営者としては感情に流されず、冷静に、かつ必要な重さで対応していく姿勢が求められます。
最後の手段としての処分判断
昇格した同僚を妬んで仕事に支障を来す態度を繰り返す社員に対しては、まずモチベーションのケアや配置転換、注意指導といった段階的な対応を尽くすことが基本です。しかし、それでも改善が見られず、組織への悪影響が続くようであれば、最終的には処分という判断を下さざるを得ないことがあります。
ここで大切なのは「会社としてどこまでの努力を尽くしたか」という点です。ケアや説明をし、配置転換の工夫も行い、それでもなお問題が改善されないとなれば、会社としては組織全体の健全性を守る責任を優先しなければなりません。いつまでも改善を待ち続けては、他の社員の士気低下や組織全体の混乱につながってしまうからです。
処分の重さについては、その社員の態度やこれまでの経緯、会社への影響の大きさを踏まえて判断します。軽いものであれば減給や出勤停止など、重ければ懲戒解雇まで視野に入る場合もあります。もちろん、処分を行う場合には法的な手続きや就業規則に基づいた適切な運用が不可欠です。感情的に「もう我慢できないから」と突発的に厳しい処分を下してしまうと、後に法的なトラブルを招く恐れもありますので、専門家に相談しながら慎重に進める必要があります。
処分はあくまでも「最後の手段」です。しかし同時に、それは組織を守り、他の社員を守るために経営者が負わざるを得ない重要な責務でもあります。会社にとっても本人にとっても重い決断となりますが、経営者としては組織全体の利益を第一に考え、毅然とした判断を下す覚悟が求められます。
まとめ
昇格した同僚を妬んで職場で不適切な態度を取る社員への対応は、単なる問題社員への対処にとどまらず、組織全体の健全性や人材育成の在り方を考える機会でもあります。妬みそのものは人間として自然な感情ですが、それが行動に表れ、職務放棄や協調性の欠如につながる場合には、放置してはならない深刻な問題になります。
対応の第一歩は、本人が誤解しているかもしれない評価や期待のあり方をきちんと伝え、モチベーションを回復させることです。そのうえで必要に応じて配置転換を行ったり、注意指導を重ねたりして、本人が組織の一員として健全に働けるよう導いていくことが重要です。
しかし、どれだけケアや指導を行っても改善が見られない場合は、最終的に処分を検討せざるを得ません。会社には全社員の働きやすい環境を守る責務があり、一人の社員の未熟な態度を無制限に許容することはできません。
経営者としては「感情的な制裁」ではなく「組織の利益を守るための必要な判断」として対応する姿勢が求められます。そのためには段階的な対応を尽くすことが前提であり、それを行ったうえでの処分判断であれば、周囲の社員からも理解を得やすくなるでしょう。
昇格をめぐる問題は誰にでも起こり得るものです。しかし、適切な対応を積み重ねることで、本人が立ち直り、再び組織の中で活躍できる可能性もあります。重要なのは、経営者が感情に流されず、冷静かつ戦略的に組織運営の一環として対応していくことです。