問題社員

好き勝手に振る舞う1人事務所の事務員への適切な対処法|マネジメント強化で組織を守る

動画解説

はじめに

 会社経営者の皆様から寄せられるご相談の中でも、離れた事務所で1人勤務をしている事務員に関するトラブルは少なくありません。特に、上司や管理職の目が届かない環境で、勤務態度が乱れたり、残業を繰り返したりするケースは深刻な問題となり得ます。

 今回のご相談も、まさにその典型例です。仕事をサボる、ミスが多い、業務量に比して不自然に多い残業や休日出勤を繰り返し、残業代を稼ぐといった行動が見られる事務員にどう対応すべきかというものです。さらに、改善を図るために別の事務員を配置したところ、乱暴な態度を取ってわずか3週間で退職に追い込んでしまったという状況も発生しています。

 このような状態を放置してしまえば、本人の問題だけでなく、周囲の社員の士気にも大きな影響を与えかねません。働かないのに残業代を得ている社員がいれば、「真面目にやるのが馬鹿らしい」と感じる人が出てきても不思議ではないからです。結果として、優秀な社員がやる気をなくし、組織全体のパフォーマンスが低下してしまう恐れがあります。

 本記事では、このように好き勝手に振る舞う1人事務所の事務員に対して、どのように対応すべきか、その基本的な考え方と具体的な方法について解説していきます。

離れた事務所で1人勤務する事務員の問題点

 離れた事務所に事務員を1人だけ配置するという勤務形態には、管理の目が行き届きにくいという大きな弱点があります。上司や社長の近くで働いていれば、日々の業務ぶりを直接確認できますし、勤務態度が乱れていればその場で注意することが可能です。無駄な残業をしようとしても、「今日はここまでで十分だから帰るように」と指示でき、未然に防ぐことができます。

 ところが、物理的に離れた事務所に1人で勤務している場合、こうしたマネジメントが難しくなります。業務量に比して不自然に多い残業が発生しても、現場を見ていない管理者にとっては、その正当性を判断することが困難です。そのため、事務員本人の裁量に任されがちとなり、結果的に仕事をサボったり、あえて遅らせたりして残業時間を増やすといった行動が放置されやすくなるのです。

 また、職場に一人きりであることで緊張感が失われ、勤務態度が緩むことも珍しくありません。自分の働きぶりを監督する人がいないため、好き勝手に振る舞いやすくなり、仕事の質が下がったり、ミスが増えたりする傾向があります。さらに、新しく配置された同僚に対して乱暴な態度を取るなど、人間関係のトラブルを引き起こすこともあります。

 このような状況は、単に一人の事務員の問題にとどまらず、組織全体に波及していきます。結果として、他の社員から「不公平だ」「このままではやっていられない」という不満が生じ、会社全体の士気低下や離職につながるリスクを抱えることになります。

マネジメントできる人物のそばで働かせる重要性

 問題社員がサボりやすく、無駄な残業を繰り返す背景には、上司や管理職の目が届かない環境で働いていることが大きく影響しています。特に離れた事務所で一人勤務を任せている場合、本人の裁量が大きくなりすぎ、適切な管理が機能しなくなることがあります。このような環境下では、本人の自律性や責任感に頼るしかなく、もともと勤務態度に課題のある社員にとっては「好き勝手に振る舞える温床」となってしまいます。

 そこで重要になるのが「マネジメントできる人物のそばで働かせる」という発想です。管理能力のある上司や幹部、または経験豊富でタフな同僚の存在があるだけで、問題社員はサボりにくくなり、無駄な残業も自然と抑制されます。適切な監督者がいれば、仕事の進捗状況を把握しやすく、注意指導や改善のための具体的な指示も行いやすくなります。

 逆に、弱い立場の社員を配置した場合には、今回のように乱暴な態度を取られて退職してしまうなど、かえって被害が広がってしまいます。そのため「とりあえず人を増やす」という対応ではなく、マネジメントできる人物を配置する、あるいは問題社員をそのような人物の近くに異動させるという判断が欠かせません。

 組織の秩序を守り、他の社員を不当に犠牲にしないためにも、会社としては「誰のそばで働かせるのか」を最優先に考えることが求められるのです。

異動による対応の検討

 問題社員への対応として有効な方法の一つは、本人を異動させてマネジメントできる人物のそばで勤務させることです。現在のように離れた事務所で一人勤務を続けさせると、サボりやすさや無駄な残業といった行動が助長され、注意指導も十分に行き届きません。そのため、管理職や経験豊富な上司の近くで働かせることにより、自然と行動が抑制され、指導や改善の効果も出やすくなります。

 異動させることで、仕事の進捗や残業の必要性についても正確に把握できるようになります。例えば「なぜその作業に残業が必要なのか」という具体的な確認ができるため、無駄な残業を減らしやすくなるのです。さらに、ミスが多い社員であれば、その場で指導やフォローが可能になり、業務全体の質を改善することにもつながります。

 もっとも、異動を行えば、元の事務所を空にしてしまう可能性があります。その場合には、別の用途での活用を検討するか、事務所自体を統合して整理するなど、会社全体の運営方針を踏まえた判断が必要になります。単に「問題社員を移動させれば解決」という短絡的な発想ではなく、異動によって生じる全体への影響も十分に考慮することが求められます。

 とはいえ、問題社員を一人で放置しておくよりも、マネジメントできる人物の近くに配置し直す方が、組織全体にとってのリスクを減らす有効な方法であることは間違いありません。

マネジメント人材を現場に配置する方法

 異動が難しい場合には、逆にマネジメントできる人物を現場に配置する方法が考えられます。つまり、問題のある事務員を本社や他の拠点へ移すのではなく、管理職や経験豊富な社員が離れた事務所で勤務し、一緒に働く形を取るのです。これにより、日々の行動を直接確認できるため、サボりや無駄な残業を抑える効果が期待できます。

 この方法の強みは、問題社員が乱暴な態度をとったとしても、相手がマネジメント能力のある人物であれば、むしろ毅然とした対応を取れる点です。前回のように、新しく入った弱い立場の事務員が犠牲になることはなくなり、会社としても適切に状況をコントロールできるようになります。また、管理職が現場に入れば、業務の進捗や残業の正当性を正確に確認でき、必要に応じて迅速に指示を出せるため、効率的な業務運営にもつながります。

 もちろん、優秀なマネジメント人材を一つの事務所に常駐させることは簡単ではありません。多くの場合、他の部門でも重要な役割を担っているため、常に配置する余裕がないケースもあるでしょう。その場合には、短期間のローテーションや定期的な巡回といった形で関わり続けることも一つの方法です。大切なのは、問題社員を「放置しない」こと、そして適切なマネジメントの目を常に届かせる仕組みを作ることです。

 また、もし追加で社員を配置するのであれば、弱い立場の人ではなく、乱暴な態度に動じないタフな人材を選ぶことが重要です。そうすることで自然と牽制が働き、問題社員の行動を制限する効果が生まれます。

無駄な残業を防ぐための考え方

 今回のご相談では「せめて無駄な残業をやめさせたい」という切実な声がありました。確かに、毎月45時間を超える残業をして、その分の残業代を得ているのであれば、会社にとっては大きな負担ですし、他の社員からも「不公平だ」という不満が噴出して当然です。しかし、単純に「残業禁止命令を出す」「残業をしても残業代は払わない」といった対応は、問題の本質的な解決にはつながりません。

 なぜなら、仕事をサボり、半日で終わるような業務しかこなしていない人物が、所定労働時間内に仕事を終わらせられるかというと、現実には難しいからです。サボり癖がある人材に残業禁止を言い渡しても、ますます業務を滞らせ、結局は全体の仕事が停滞してしまうリスクがあります。その結果、他の社員にしわ寄せがいき、職場全体の不満や不公平感は一層高まってしまうのです。

 したがって、残業そのものを単に否定するのではなく、まず「その残業は本当に必要なのか」を客観的に検証することが重要です。マネジメントできる人物がそばにいれば、日々の業務量や進捗を適切に把握し「この仕事は今日中に終わるはず」「その作業に追加の残業は不要」といった判断を下せるようになります。つまり、残業をやめさせるためには、マネジメントの強化が前提となるのです。

 また、残業削減を進める場合には、経営者側も「所定労働時間内で仕事を終わらせることが当然」というメッセージを明確に伝え続ける必要があります。場合によっては、残業時間の事前申請制を導入する、あるいは業務日報などで残業の内容を逐一確認する仕組みを導入することも効果的です。こうした取り組みを組み合わせることで、初めて「無駄な残業を減らす」という目的が実現可能となるのです。

在宅勤務やテレワークとの共通点

 離れた事務所で1人勤務している社員の問題は、近年増えている在宅勤務やテレワークの場面でも同様に発生し得ます。上司や同僚の目が届かない環境では、仕事に集中せずサボってしまう人が出やすく、またその実態を把握することも難しくなります。結果として、業務の遅れや無駄な残業、さらには成果物の質の低下につながる危険性があります。

 特に問題のある社員にとって「監視の目がない環境」は、自分の行動を正すきっかけがなく、むしろ状況を悪化させる要因となります。今回の事例と同様に、サボりや無駄な残業が常態化すれば、会社にとって経済的な損失が膨らむだけでなく、周囲の社員からの不満や士気低下を招きます。

 したがって、在宅勤務やテレワークを認める場合も「問題のない社員に任せる」「成果を定期的に確認する」「報告やコミュニケーションを必ず行わせる」といった工夫が欠かせません。特に、問題行動が見られる社員については、在宅勤務を認めるのではなく、原則として出社させるなど、勤務環境を制限することも必要です。

 つまり、離れた事務所での単独勤務とテレワークの問題は構造的に同じであり、管理職や経営者が「放置しない」「目を配る仕組みをつくる」ことが決定的に重要になります。

まとめ

 離れた事務所で1人勤務する事務員が、好き勝手に振る舞い、仕事をサボったり無駄な残業を繰り返したりする状況は、会社にとって看過できない問題です。本人の行動を放置すれば、無駄な人件費が発生するだけでなく、他の社員の不満や職場全体の士気低下につながり、組織に深刻な影響を及ぼしかねません。

 重要なのは「問題のある社員を1人で放置しない」という点です。マネジメントできる人物のそばで勤務させる、あるいはマネジメントできる人物を現場に配置するといった工夫が必要になります。弱い立場の社員を犠牲にするのではなく、経営者や管理職が主体的に関与し、管理体制を整えることが欠かせません。

 また、在宅勤務やテレワークにおいても同じ構造的な問題が発生し得ます。問題のある社員に自由を与えるのではなく、必要に応じて出社を求めるなど、状況に応じた適切なマネジメントが求められます。

 四谷麹町法律事務所では、このような問題社員への対応について、注意指導の方法や勤務体制の見直し方針、さらには懲戒処分を検討すべきかどうかなど、企業側の視点から具体的なサポートを行っています。トラブルを放置すれば組織の崩壊につながりかねません。問題社員の対応でお困りの際は、会社側専門の弁護士が在籍する四谷麹町法律事務所へぜひご相談ください。

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